(情報)
麻痺や知的障害を伴わない18歳以上の、てんかん患者29,220名について、2006年〜2013年まで、緊急治療例や死亡症例など重篤な交通事故の遭遇頻度について調査。てんかん既往がない267,637名との比較、抗てんかん薬の服用有無での比較を行った。
てんかん既往がない人と比較して、てんかん患者では重篤な交通事故の遭遇頻度は上昇していた(HR 1.37, 95%CI 1.29-1.46)。交通手段別にみると、歩行中の事故(HR 2.24, 95% CI 1.69-2.97)、自転車事故(HR 1.68, 95%CI 1.49-1.89)、車両事故(HR 1.31,95%CI 1.19-1.44)であった。なお、てんかん患者を対象に、抗てんかん薬の服用有無で重篤な交通事故の遭遇頻度を調べたところ、有意差はみられなかった。
(私見)
移動中(歩行、二輪車、自動車)に、てんかん発作を生じることで事故へ遭遇するリスクがありますが、今回の報告をもとにすると「抗てんかん薬で治療しているから大丈夫」とはいえないことを具体的な数字も含めて、改めて認識しました。国内では自動車免許に関して、てんかんと診断された場合は一定の条件が決められていますが(
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/105/8/105_1400/_pdf
)、歩行や自転車については規定がありません。そのため救急部門や一般内科外来でお会いするてんかん患者さんと、交通手段の話題になったときは今回の知見も意識しながらお話したいと思います。