救急医?の雑記帳

日々感じたこと,調べたこと,得たこと,目標としていることなどを備忘録目的に不定期にまとめていこうと思います.

# ERで虚弱高齢者に対して入院リスク、死亡リスク、介護環境整備の必要性を予測するうえで、CGAの視点は有用

# ERで虚弱高齢者に対して入院リスク、死亡リスク、介護環境整備の必要性を予測するうえで、CGAの視点は有用

 

(情報)
 Frailty(日本では“フレイル”と表現)は老年医学において重要な概念であるが、救急外来では十分に浸透しておらず、活用もされていない。そこでRockwood cumulative deficits modelを元に救急外来でも活用しやすい24項目からなる「FI-ED : ED frailty index」を考案した。多国参加、前向きコホート研究。救急外来を受診した75歳以上の高齢者が対象。

 検証の対象者は1,750名。FI-EDの点数が高いほど、入院、28日以内の死亡、長期入院、介護施設への入所、CGAの必要性と有意な関係を認めた。そのためFI-EDは上述のような有害事象が発生しうる虚弱高齢者の同定に有用と思われる。

 

Identification of older adults with frailty in the Emergency Department using a frailty index: results from a multinational study
Age and Ageing

 

(私見)
 今回の論文ではRockwood cumulative deficits modelをベースに考案されたED frailty indexの検証がされています。実際に現場で活用するためには、項目ごとの重み付けや、点数に応じてどのように対応するかなど、検討事項がありそうです。とはいえ見方を変えると、身体機能低下数の概念に基づくFrailtyの概念が、ERセッティングでも有用そうだ、と感じています。年々、高齢者救急が増えてくる日本において、老年医学、家庭医療の領域で親和性のあるCGA (Comprehensive Geriatric
Assessment)が救急領域でも意識されてくるんだろうなぁと考えています。

 

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