(情報)
外傷出血や分娩後出血に対してトラネキサム酸を使用することで、死亡率を下げることは、過去の研究で確認されている。今回は、トラネキサム酸の投与タイミングが、予後へ影響を与えるのかメタ解析で調べた。
対象は40138名の外傷または分娩後の大量出血に対してトラネキサム酸を使用した方。そのうち3558名が死亡し、死亡者のうち1408名(40%)が出血によるものであった。出血による死亡者1408名のうち884名(63%)は発症から12時間以内に死亡している。出血部位に関わらず、トラネキサム酸を投与することで生存率は改善している(OR 1.20,95%CI 1.08-1.33,P=0.001)。発症直後にトラネキサム酸を投与することが最も生存率を向上させる(OR 1.72, 95% CI 1.42-2.10, P<0.0001)。一方、トラネキサム酸の投与が15分遅れる毎に、生存率ベネフィットが10%低下し、3時間遅れると生存ベネフィットがなくなる。尚、トラネキサム酸投与による血管閉塞の副作用はみられなかった。
重症外傷や分娩後の大量出血では、発症直後にすぐトラネキサム酸を投与するのが望ましい。
Effect of treatment delay on the effectiveness and safety of antifibrinolytics in acute severe haemorrhage: a meta-analysis of individual patient-level data from 40 138 bleeding patients.
(私見)
外傷による大量出血に対するトラネキサム酸の有効性は認識していましたが、発症直後から時間経過とともに有効性が低くなっていくことが本文ではグラフィカルに示されていた。これまで以上に投与タイミングをできるだけ早められるよう意識したいと思います。