救急医?の雑記帳

日々感じたこと,調べたこと,得たこと,目標としていることなどを備忘録目的に不定期にまとめていこうと思います.

緊急気管挿管の際にApneic Oxygenationを行ったほうが安全かもしれない

緊急気管挿管の際にApneic Oxygenationを行ったほうが安全かもしれない

(情報)
2006年~2016年までに行われたRCTと観察研究を対象としたシステマティック・レビュー。最終的に8つの研究を抽出し、1837名を対象にメタ解析。 Apneic Oxygenationを実施したところ、非実施群と比較して、全体として低酸素血症の発症頻度を減らした(OR 0.66)。ただし重度~致命的な低酸素血症の発症頻度は変わらなかった。一方で、気管挿管の初回成功率は高く(OR 1.59)、挿管中の最低SpO2値も高かった。

Effectiveness of Apneic Oxygenation During Intubation: A Systematic Review and Meta-Analysis
Oliveira Silva L Cabrera D Barrionuevo PJohnson R Erwin P et. al.
Annals of Emergency Medicine
2017 vol: 70 pp: 483-494.e11

※ Apneic Oxygenation
Apneic oxygenationとは、挿管の際に自発呼吸が消失して無呼吸になった患者に対して行う経鼻的酸素投与(通常は鼻カニュラ高流量10ー15L/min)のこと。実際の挿管手技中(BVM換気を中止⇒開口⇒口頭展開⇒正門確認⇒挿管)も経鼻から酸素投与し続ける。

(私見)
Apneic Oxygenationに関しては賛否両論の報告が出ておりますが、コストや侵襲性のデメリットは大きくないため、個人的には頻用しております。とはいえ、今回の報告でも重度の低酸素血症の発症率に有意差がでておりませんので、挿管困難に対する周到な準備は欠かせませんね。

 

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