救急医?の雑記帳

日々感じたこと,調べたこと,得たこと,目標としていることなどを備忘録目的に不定期にまとめていこうと思います.

「ウチの子はペニシリンアレルギーなんです」っていう親御さんの話は,再確認したほうがいいかもしれない

「ウチの子はペニシリンアレルギーなんです」っていう親御さんの話は,再確認したほうがいいかもしれない

(情報)
 抗菌薬アレルギーをもつ小児は珍しくない.その中でもペニシリンアレルギーは最も頻度の多い抗菌薬アレルギーである.しかし大抵の場合,親御さんからの情報を頼りに「抗菌薬アレルギーをもっている小児」とラベリングされており,実際に詳しいアレルギー検査で診断確定しているケースは多くない.

 19ヶ月の調査期間中に,都市部の救急外来を受診した3歳~18歳までの約600名の患児を対象とした単施設研究.患児は全て「ウチの子はペニシリンアレルギーをもっている」と親が報告している症例.過去のアレルギー症状について親から聴取し,低リスク群434名(非IgE介在症状,発疹,掻痒,下痢,嘔吐,鼻汁,吐気,咳嗽,アレルギーの家族歴)と高リスク群163名(アナフィラキシー症状,IgE介在症状)へ分けた.

 このうち低リスク群とされた小児100名に対してアレルギー検査(皮内テスト,アモキシシリン内服チャレンジテスト)を実施したところ,一人も陽性にならなかった.

Vyles D et al. Allergy testing in children with low-risk penicillin allergy symptoms. Pediatrics 2017 Jul 3; [e-pub]. (http://dx.doi.org/10.1542/peds.2017-0471)

(私見)
 抗菌薬アレルギー,特にペニシリン系抗菌薬へのアレルギーの有無は,生涯に渡って実臨床への影響が大きいですよね,,,そのため「昔,ウチの子に抗菌薬を飲ませたらアレルギーがでたんです」という情報を親御さんから頂いた場合は,アレルギー検査などで診断がついたレベルの話なのか,「アレルギーっぽい」症状がでた話なのか確認することが大切だなぁと感じています.

 

f:id:sasakitakanori:20171023144653p:plain