救急医?の雑記帳

日々感じたこと,調べたこと,得たこと,目標としていることなどを備忘録目的に不定期にまとめていこうと思います.

AMIを疑っても,常に「大動脈解離に伴う冠動脈閉塞」の可能性を考慮して,ベッドサイドエコーを行ったほうが良さそう

AMIを疑っても,常に「大動脈解離に伴う冠動脈閉塞」の可能性を考慮して,ベッドサイドエコーを行ったほうが良さそう

(情報)
ケースレポート.大動脈解離によって冠動脈閉塞を招き,STEMIを呈することがある.そのようなときはベッドサイドエコー(Point of care ultrasound; POCUS)が有用かもしれない.

特に既往症のない69歳男性が胸痛を主訴にERを受診.心電図ではST上昇を認め,AMIを示唆していた.緊急カテの準備をする一方で,POCUS実施したところ上行大動脈でフラップ,明らかな大動脈弁逆流,頸動脈および腹部大動脈でもフラップを認めた.以上からStanford A型の大動脈解離を疑い,造影CTで診断確定へ至った.

AMIの診断や緊急治療を遅らせてはいけない.その一方でAMIの治療は大動脈解離にとって有害となる.そのためPOCUSはSTEMIを呈する大動脈解離の診断において,ERで実施できる迅速で特異度の高い検査方法といえる.

Diagnosis of Aortic Dissection Presenting as ST-Elevation Myocardial Infarction using Point-Of-Care Ultrasound, Jordan Chenkin,Received 9 March 2017, Revised 7 July 2017, Accepted 8 August 2017, Available online 20 October 2017

(私見)
寒くなる秋口から大動脈解離が増える印象をもっていますが,Stanford A型の大動脈解離に伴う冠動脈閉塞でのAMIを毎年経験します.大動脈解離は様々症状を呈するため,単一の身体所見や検査所見のみで除外することが難しい致死的疾患の一つだと感じています.AMIと大動脈解離では担当診療科も治療内容も大きく異なるため,AMIをみると(特に右冠動脈領域)常に大動脈解離の可能性を疑っています.そのため大動脈解離の診断に有用な検査の一つとしてベッドサイドエコーは必須だと思っています.けれど,体格や心臓の位置などで必ずしもキレイに描出できないのが辛いですが,,,

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