救急医?の雑記帳

日々感じたこと,調べたこと,得たこと,目標としていることなどを備忘録目的に不定期にまとめていこうと思います.

2021年2月7日(日)〜2月13日(土) ちょい勉まとめ

2021年2月7日(日)〜2月13日(土) ちょい勉まとめ

  1. アンフェタミンが尿中薬物検査で偽陽性を生じる薬剤として、ラベタロール、エスモロール、プロメタジン、トラゾドンが挙げられる(Cureus. 202113:e12429)。
  2. 心停止後の患者に対する最適なSpO2は95~97%の可能性がある。後ろ向き研究。https://t.co/ftZcOhRzI8
  3. ショック指数が高い重症例に対してケタミンを使用すると、血圧上昇の頻度は少なく、低血圧を生じる頻度が多くなる。 https://t.co/9C1UtdUDog
  4. 褐色細胞腫の再発率は16%という報告がある。家族性はとくに再発率が高い傾向。 https://t.co/tK29p9GaEx
  5. 貧血を伴うAMIに対して輸血開始基準をHb<8.0g/dlに設定しても、Hb10.0g/dlと比較して30日間の重大な有害事象発生率は増加せず。Open labelのRCT。Effect of Restrictive vs Lib… https://t.co/zXt5pXVgcU
  6. デクスメデトミジンとプロポフォールを比較して、敗血症に対する浅鎮静管理での人工呼吸器管理で、せん妄・人工呼吸器管理期間などに有意差なし。多施設RCT。Dexmedetomidine or Propofol for Sedation… https://t.co/1UGYq9eGTh

2021年1月31日(日)〜2月6日(土) ちょい勉まとめ

  1. 子癇前/子癇患者の収縮期血圧が160mmHg以上、または拡張期血圧が110mmHg以上で15分以上持続する場合は降圧薬の持続投与を開始する(Obstet Gynecol.Vol.133:409)。
  2. 3:1の比率で重炭酸ナトリウムとリドカイン1%/エピネフリンを緩衝化したほうが、9:1の比率よりも効果的で痛みが少ない。 https://www.clinicalkey.jp/
  3. 好酸球性消化管疾患・好酸球性食道炎・好酸球性胃腸炎 https://www.nanbyou.or.jp/entry/3935
  4. 外傷患者における低カルシウム血症の総説。 Hypocalcemia in trauma patients: A systematic review : Journal of Trauma and Acute Care Surgery https://journals.lww.com/jtrauma/Fulltext/2021/02000/Hypocalcemia_in_trauma_patients__A_systematic.26.aspx
  5. 33.710名の65歳以上の高齢者を対象とした、平地での転倒レベルの頭部外傷では、抗血小板薬や抗凝固薬の服用有無での外傷性脳損傷の割合は有意差なし。 Antiplatelet and anticoagulant agents ha… https://twitter.com/i/web/status/1357636858553847815
  6. 内因性および外因性を含めた約3000名の急性呼吸不全のためICUで管理している方について、PaO2 60 mm Hgて管理した場合と、PaO2 90 mm Hgで管理した場合の、90日後の死亡率に有意差は見られない。RCT。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33471452/
  7. 肋骨骨折に対するエコーは、CT診断を基準として、感度77%(95%CI 69%-84%)、特異性83%(95%CI 79%-86%)、陽性的中率57%(95%CI 51%-62%)、陰性的中率92%。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33218837/
  8. 精査したものの原因が特定できていない、成人の持続的な咳や嗄声などに対してランソプラゾールを処方して症状の改善は得られない。RCT。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33414239/
  9. COVID-19陽性者でWHO基準を満たした回復者131人に対して鼻咽頭スワブでの再検査を行ったところ、22人(16.7%)で再陽性となった。再陽性となったヒトと、そうではないヒトの臨床症状を比較したところ、喉の痛み(18%対4%… https://twitter.com/i/web/status/1356823033235730437
  10. 消化管出血に対してトラネキサム酸を投与しても死亡率の改善効果は得られない。HALT-IT試験、RCT試験。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32563378/

2021年1月24日(日)〜1月30日(土) ちょい勉まとめ

  1. 末梢静脈路からの血管作動薬の投与による合併症は非常に稀(マイナーイベントを入れても7%、メジャーイベントは1%未満)Complication of vasopressor infusion through peripheral v… https://twitter.com/i/web/status/1353135289359716352
  2. eGFRが30以上で、急性腎障害がない場合、造影CT前のメトホルミンを48時間休薬すべきエビデンスはない(Emerg Radiol.2020;27:115)。
  3. 院外心停止の6ヶ月後の神経学的予後を予測するツール「MIRACLE2」 https://academic.oup.com/crawlprevention/governor?content=%2feurheartj%2farticle%2f41%2f47%2f4508%2f5878044
  4. 気管挿管の手技(オッズ比6.48)、バッグ・バルブ・マスクによる換気(2.70)、NPPV(3.96)は飛沫感染リスク増と関連した。酸素6l/min以上のマスク投与もリスクがある。NHFCは研究が少なく不明。メタアナリシス。 https://www.annemergmed.com/article/S0196-0644(20)30499-6/fulltext
  5. ICUへ入室した患者さんについて、Pao2 60 mm Hgを目標に管理しても90日の死亡率の悪化は見られない。多施設RCT。 https://www.nejm.org/action/cookieAbsent
  6. 市中肺炎に対するステロイドの有益性を示すエビデンスは、まだ限定的。 https://first10em.com/steroids-for-community-acquired-pneumonia-the-evidence/
  7. 悪性外耳炎とは、外耳道の感染から始まり、側頭骨と頭蓋底に広がり、"頭蓋底骨骨髄炎 "を引き起こし、頭蓋内構造物にまで広がる(Am J EM.2020;38:1671)
  8. 血栓回収療法と血栓溶解療法を併用しても、血栓回収療法単独と比較して有意なアウトカムは得られておらず、脳出血の合併症は多いかもしれない。 https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2775278?utm_source=twitter&utm_campaign=content-shareicons&utm_content=article_engagement&utm_medium=social&utm_term=012821@JAMA_currentpart of @JAMANetworkより
  9. ARDSではない気管挿管患者のPEEPについて最適化された値はまだはっきりしない。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33295981/

2021年1月17日(日)〜1月23日(土) ちょい勉まとめ

2021年1月17日(日)〜1月23日(土) ちょい勉まとめ

  1. BNP上昇の原因として、心不全のほかに、肺塞栓症、肺高血圧症、心臓弁膜症、ARDSなどが挙げられる。偽陰性(本来の数値よりも低値を示す)要因として肥満がある。また偽陽性(本来の数値よりも高値を示す)要因としては腎機能障害(特にGF… https://twitter.com/i/web/status/1350782090996977665
  2. 片側の顔面神経麻痺ではベル麻痺を疑う(第7神経)。この場合、隣接する脳神経である顔面の感覚麻痺(第5神経)、前庭機能障害(第8神経)、咽頭症状(第9,10神経)を合併することもある。(Acad EM. Vol. 26:342)。
  3. 重症対応では具体的な対応方法や診療環境について事前準備や訓練、改善行動が大切。患者安全エラーのほとんどは知識以外の要因。その具体例について重症シナリオトレーニングをもとに要因分析した論文の解説。 https://first10em.com/the-trust-study-latent-safety-threats-in-trauma-resuscitation/
  4. 心血管系リスクのある人が嚥下機能障害が突然発症した場合は、脳幹脳梗塞の一例である側方髄質症候群(Wallenberg症候群)を疑ってアプローチする(JEM.2020;59:392)。
  5. 2型糖尿病患者に対するSGLT-2阻害薬とGLP-1抗体のネットワークメタアナリシス。いずれも重大な心血管系疾患や腎疾患の発生率を低下させ、死亡率を低下させる可能性が示唆された。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33441402/
  6. マダニに噛まれたことでマダニの唾液中の抗原が、牛肉や豚肉などと交差反応して、これらの肉類を摂取した際にアレルギー反応が生じることがある。 参考文献 ①PMID: 29074067 ②PMID: 31156631

2021年1月11日(月)〜1月16日(土) ちょい勉まとめ

2021年1月11日(月)〜1月16日(土) ちょい勉まとめ

  1. 夜勤のためのハック→ Some evidence for working night shifts https://first10em.com/some-evidence-for-working-night-shifts/ @First10EMより
  2. 偽高カリウム血症の原因となる検査異常として、WBCの異常高値と、著明な血小板増多症が挙げられる。前者は白血球細胞がもろくなってカリウム濃度が誤って高くなることがある。後者は凝固が生じると血小板細胞内のカリウムが細胞外へ移動する。(JEM, epub, 1/7/21)。
  3. 突然発症の耐え難い雷鳴頭痛を呈し、羞明を伴うことがあり、SAHと同様の症状を呈することがある疾患として、可逆性脳血管攣縮症候群が挙げられる。ほとんどの場合、労作、咳、排便、血管作動性物質の使用などの識別可能な引き金がある(Cure… https://twitter.com/i/web/status/1348324853338624002
  4. LDLは管理目標へ到達しているもののTG高値が高い、冠動脈再建術後の患者は、EPA製剤投与によって再狭窄率が低下するかもしれない。RCT、NNT24(4.9年間あたり) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33148016/
  5. 原発性副腎リンパ腫は、通常、両方の副腎で発生し、副腎機能不全を引き起こす可能性があるまれな疾患。January 7, 2021 | NEJM https://www.nejm.org/action/cookieAbsent
  6. 超急性期SAHにトラネキサム酸を投与しても6ヶ月後の転帰の改善は見られない。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33357465/
  7. 外傷性脳損傷に対してトラネキサム酸を投与しても予後改善効果は示されなかった。システマティックレビュー。 https://link.springer.com/article/10.1007/s00134-020-06279-w?error=cookies_not_supported&code=5d03c883-2b03-4ee4-a0a1-c7e6439c7915
  8. 術前の鉄補充に関する参考情報 # uptodate 1. Preoperative IV iron to treat anemia (September 2020) 2. Treatment of iron deficiency… https://twitter.com/i/web/status/1349484850923749376
  9. 術前に鉄欠乏性貧血がある場合は鉄補充による有益性はあるが、鉄欠乏の有無に関わらずルーチンで鉄補充を行っても、Hb上昇は得られるが輸血量や死亡率に有意差は見られていないため推奨されない。 #uptodate
  10. 高血圧性肺水腫で硝酸薬が効かない場合は二カルジピンを考慮する。 (1) Raggi JR, et al. Am J Emerg Med. 2020 Dec 13. Online ahead of print. (2) Peaco… https://twitter.com/i/web/status/1349396542575181826
  11. 遊走脾による急性腹症で外科的治療が必要となる理由は、脾臓の支持組織の欠損や脆弱性によって、脾臓の捻転や脾臓血管の引き延ばしによって脾梗塞を招くため。左腎臓の欠損は遊走脾を生じやすい(Emerg Radiol, epub, 1/8/21)。
  12. 小児の鈍的頭部外傷に対するUS評価はCT診断を基準として、感度91%、特異度96%、陽性的中率88%、陰性的中率97%。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33273039/
  13. 片頭痛に対して硫酸マグネシウム2 g+5%ブドウ糖50 mLを20分間で投与すると、プロクロルペラジン(ノバミン®)やメトクロプラミド(プリンペラン®)と比較して頭痛軽減の効果が劣らない。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33041146/
  14. 乳酸値の測定は、成人の敗血症ガイドラインなどで推奨されている。しかし小児領域ではエビデンスが確立されておらず、小児の敗血症ガイドラインなどで推奨されていない。ただし現場では頻繁に活用はされている。
  15. 小児の敗血症における乳酸値の測定に関する資料① Weiss SL, Peters MJ, Alhazzani W, et al. Surviving sepsis campaign international guidelines… https://twitter.com/i/web/status/1350209429753323520
  16. 小児の敗血症における乳酸値の測定に関する資料② Scott HF, Brou L, Deakyne SJet al. Association between early lactate levels and 30-day mort… https://twitter.com/i/web/status/1350209781689028613

ROSC後の心電図ではSTEMIの偽陽性に注意する

ROSC後の心電図ではSTEMIの偽陽性に注意する

心停止による冠動脈虚血の影響と、根本原因としての冠動脈虚血の違いをERで蘇生した直後に判断するのは難しいなぁといつも感じてますが、それに関しての論文。

ROSC後の心電図では、心停止による冠動脈虚血の影響があるため、STEMIの過剰診断(偽陽性)につながるリスクがある。参考文献では成人370例の後方視研究だが、ROSCから7分以内に実施した心電図は8分以降に実施した心電図と比較して3倍のSTEMI偽陽性率だった。したがってROSC後の心電図は8分以降に実施するか、初回心電図でSTEMIが疑われる場合は、その後に再度心電図(どのくらいの時間をおけばいいかは今は決められない)を実施して確認するのが良いかもしれない。

参考文献

Association of Timing of Electrocardiogram Acquisition After Return of Spontaneous Circulation With Coronary Angiography Findings in Patients With Out-of-Hospital Cardiac Arrest | Acute Coronary Syndromes | JAMA Network Open | JAMA Network

2021年1月4日(月)〜1月10日(日)ちょい勉まとめ

2021年1月4日(月)〜1月10日(日)ちょい勉まとめ

  1. 10mm未満の未破裂動脈瘤を伴う急性脳梗塞に対して、tPA投与は「おそらく安全で妥当」(Journal of Clinical Neuroscience.Vol.60:148)
  2. RCT試験 四肢外傷で救急病院から退院する際に、アセトアミノフェン単独に比べて、NSAIDs単独または併用による鎮痛効果は退院後7日時点で有意差がなく、有害事象の発生頻度は高い可能性がある。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33145862/?otool=ijptohlib
  3. 肺癌だけがホルネルじゃない!3つのニューロンで考えよう!:瞳孔(Part.11) https://www.youtube.com/watch?v=_Hmac33u-9U&feature=youtu.be via @YouTube
  4. 長時間の座りっぱなしは、坐骨隆起部の上を覆っている骨膜の炎症を引き起こし、結果的に坐骨滑液包炎の臨床症候群を引き起こすことがある。腸骨滑液包炎の疼痛は、股関節後面に放射状に広がることがある。
  5. 日本医学会連合COVID-19 expert opinion 第2版(2021年1月4日版) https://www.jmsf.or.jp/news/page_266.html
  6. 急性期脳梗塞に対してtPAを行うためには、血圧185/110mmHg未満である事が条件。SBP220以上、あるいはDBP120以上の場合は先に降圧管理を行うこと。(JACEP Open.2020;1:1467)
  7. HFNCは、救急外来における重症喘息の低酸素血症患者における呼吸困難の度合いと呼吸数を減少させるのに有効かもしれない。 まだパイロットスタディだけど、NPPVよりも装備が軽いため将来的に活用場面が増えるかも。 https://www.evidencealerts.com/Account/Login?ReturnUrl=%2FArticles%2FAlertedArticle%2F96259
  8. CTで証明されたくも膜下出血動脈瘤破裂が推定される)を有する患者において、超早期にトラネキサム酸を短期間投与しても、修正Rankin Scaleで測定した6ヵ月後の臨床転帰は改善しなかった。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33357465/
  9. 急性の高血圧による心原性肺水腫の治療の要は高用量の硝酸塩の投与。フロセミドは初期治療として推奨されない。フロセミドはRAA経路の活性化を引き起こし、カテコールアミンの増加、血管収縮、LV充填圧の上昇、LV機能障害を引き起こす可能性… https://twitter.com/i/web/status/1347314091988115457
  10. 喉頭部の浮腫がみられる場合は気道閉塞のリスクがある。しかし口唇など歯より前方の構造物の血管性浮腫だけで、嗄声など発声変化がみられない場合は、気道閉塞のリスクは少ないため予防的挿管は必要ない(West J EM. Vol. 20:587)。
  11. 統合失調症の急性症状や不穏状態に対する治療薬の選択肢(静注含む)  https://www.uptodate.com/share-content-messaging?errorMessage=invalidLink
  12. 濃厚接触者の行動制限期間は14日間。ただし観察期間を14日間として、PCR陰性確認とともに行動制限を7〜10日間へ短縮する余地はリスク考慮のうえでアリ。https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/more/scientific-brief-options-to-reduce-quarantine.html (Accessed on December 02, 2020).
  13. LVFXでは他の経口抗菌薬と比較して1ヶ月時点でアキレス腱断裂の頻度が多い。 BMJ Open. 2020;10(12):e034844. Published 2020 Dec 21.